『夏期限定トロピカルパフェ』 六冊目

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

 小市民の星を目指す二人の日常系青春ミステリシリーズ第二段。高校二年の夏休みに起こる、「小山内スイーツセレクション・夏」をめぐる一連の事件を描いた連作短編っぽい長編。
 第一章「シャルロットはぼくだけのもの」で決め手となる伏線のさりげなさ、第四章「おいで、キャンディをあげる」の暗号など個々の事件も良いが、それらを一つの長編として効果的にまとめる技が前作同様凄い。中でも、終章で四章の章題の真の意味が明かされる場面がはっとさせられた。
 また、不器用な二人の青春やっちゃってる感も良い。小山内さんの最後のセリフから結末への流れ、とりわけ最後の三行が印象深かった。この先どうなるんだろうと非常に気になるところ。