「D.C.〜ダ・カーポ〜」 八本目

 曲芸商法で有名な萌えゲーのアニメ版。本作は前半:萌えアニメ、後半:ドロドロ愛憎劇という構成なのでそれぞれ見ていこう。
 前半は萌えアニメとしてしっかり出来ている。鍋姉妹の鍋っぷりが原作よりも大幅に強化されたせいか萌先輩に萌えてしまったし、妹の眞子シナリオも品質大幅向上されているのも嬉しい。鍋姉妹の扱いが良いかもしれない。また、ギャグパートでは杉並が面白いかなと。
 後半はというと、頼子さんはともかく残りのサブヒロインのシナリオははいまひとつ。ゲームでは前半のためがあってこそのシリアス展開なんで、ラストに急にそのヒロインにスポットを当てられてもなあ。特にことりシナリオは無残の一言で、「人の心が分からなくても辛いだろうけど、喧嘩することもあるだろうけど……それでも楽しいよ」という主人公の説得は正直説得になっていないんじゃ……。
 とは言え、二十五・六話で持ち直した感じ。原作製作者の腹黒(音夢)イメージアップ作戦のせいで悪役になることを余儀なくされ、ぼろぼろになっていくさくら。彼女が精神的に病んでいく様をしっかりした作画で描いており素晴らしい。原作の根幹に位置する設定を改変しているのがどうかと思うが、これはこれで好きだ。
 前半、後半ともにそれ自体で見れば、一部の例外を除きなかなか面白い。しかし、Cパートが邪魔過ぎる。美春がにちゃんねらーだと判明する回は素晴らしいが、それ以外のサイドストーリー・声優プロモは要らない子。時間稼ぎなのは分かるが、これのせいで後半のシリアスパートのテンポを削いでいる。
 そもそも、二十六話も要らないだろう。Cパート・要らないエピソードをカットの上、脇のヒロインは前半に留めて、後半は腹黒とさくらの三角関係だけにすれば十三話でも収まるはずである。やっつけで他のヒロインをこなすくらいならそちらのほうが完成度も上がるだろうし、現状だとだとさすがに「かったるい」感が否めない。
 原作同様、素材は良いのだが全体を通してみるとそこそこどまりと言った所か。萌先輩を萌えキャラにレベルアップさせた功績もあるし、内容自体も合格点はあるのだが……。
お気に入りキャラ:ロボ美春・眞子・萌・杉並
追記(2006.7.5):このアニメで萌先輩に萌えられたのは原作と違う声の力に加えて、本人のシナリオがないという点が大きい気がしてきた。アレはラストにインパクトはあるものの、トータルでは正直つまらないからなあ。