「月姫」(同人) 四本目

 モノの壊れる線が見える主人公・遠野志貴が巻き込まれる、吸血鬼をめぐる事件を描いた伝奇ストーリー。
 同人界で伝説を築いた作品。ボリュームといい設定といい、確かにシナリオは同人の域を超えているかな。例のキャッチコピーや「―――泥棒猫。殺しておけば良かった」など地の文・セリフのセンスも好きである。
 個別のシナリオはどれも良いと思うが、アルク翡翠それぞれのトゥルーのラストシーンが綺麗で、特に印象に残っている。
 キャラ的にもどのキャラも魅力的に描けていたかな。中でも、志貴・琥珀さん・秋葉様が特にお気に入り。志貴はエロゲ主人公の中でも上位に来る格好良さだし、琥珀さんは普段のキャラ・「私は人形」とか言っているダウナーなキャラと二面性があってグッド。秋葉様はあまりツンデレには感じなかったが、キツめお嬢様だしな。
 と、シナリオの内容は良いものの、設定説明が延々と続く他、基本的にテキストが冗長。プレイしていてしんどいのも否めない。さらに言えば、テキスト以外の部分も確実に同人レベルだったし。
 同人では神にしても、商業作品とトータルで比べるとせいぜい良作+α、傑作とまではいかない感じ。まあ、商業ベースでリニューアルしたらもっと良くなると思うんで、早く出ないかなと期待しておこう。……幻のさっちんシナリオも読みたいし。