「それは舞い散る桜のように」 二本目

それは舞い散る桜のようにビジュアルファンブック (Magical cute)

それは舞い散る桜のようにビジュアルファンブック (Magical cute)

 一見奇矯な性格だが、心にバリアを張り恋愛否定主義をとる主人公・舞人。学園二年目の春、平凡な日常を送る中、彼の恋の物語が始まる。悲しい予感を感じながら……というお話。
 どっかで見たような設定と構成だが、メインは雀孫先生のテキストなんでまあいいか。主人公のボケを筆頭に、小町のガトリングトーク、ペダントリーあふれるこだま先輩のお説教などなど、日常の掛け合い・キャラクターが魅力的に描かれており、萌え笑えて非常に楽しい。シリアスシーンでも「はい、恋の魔法はおしまい」で終わるつばさの一連のセリフ他、良い文章が一杯である。
 ただ、この人仕事が遅いようで、クライマックスの描写が浅い。さらに、その辺を補完しただろう続編(「それは舞い散る桜のように」「けれど輝く夜空のような」という二部作の前半に当たる予定だった)がスタッフの喧嘩別れでぽしゃったらしい。どっかで見たような設定自体は青春物語を展開させるための舞台装置にすぎず、メインではないと捉えられなくもないのだが、やはり後半の展開の不足は否めないかな。
 とは言え、メインヒロイン・小町は萌えるし、西又絵も……まあ可愛い。BGM・ボーカル曲ともに良い曲だし、何よりテキストが最高なのだ。そんなわけで、名作になりきれなかった作品扱いされることが少なくない本作だが、私はエロゲ界トップクラスの作品だと思っているわけですよ。