『しゃべくり探偵の四季』 五十三冊目

 ボケホームズとツッコミワトソンによるミステリの続編。ギャグは相変わらずそれほどでもないが、私は前作よりこっちのほうが面白かったかな。
「怪しいアルバイト」は『競作五十円玉二十枚の謎』であるのだが、こういう答えが成り立つんだと感心したし、「注文の多い理髪店」のロジックも綺麗だった。
 また、これは解説でも言われていることだが、保住君の夏休みのお話ではボケホームズであるはずの彼が、シリアスな殺人事件の中でボケることすら出来ない悲壮な姿が印象的深かった。「海の誘い」でラストに保住君が犯人に告げる言葉などなど、普段の彼の言動を思い起こせば一層切ない。
 ミステリ部分も良いが、その辺もあって前作よりも好きなんだろうなと。