『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』 四十五冊目

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (集英社文庫)

漱石と倫敦ミイラ殺人事件 (集英社文庫)

 そういえば同時代のロンドンに居た、夏目漱石とホームズが謎のミイラ事件に挑む本格ミステリ漱石とワトソンの主観から交互に描かれる。
 作品の根本である漱石とホームズを絡めるという発想は面白い。また、同じ場面を描いているはずなのに、ワトソン主観と漱石主観の違いっぷりが笑える。漱石主観のホームズはどうみても変な人です本当にありがとうございました。
 死体から発見されたメッセージの意味は見た瞬間解けたものの、事件の謎もまずまず。大どんでん返しがくるとばかり思っていたので拍子抜けだったが、細かい伏線が収斂されていく様はやはり好きだなと。
 このように、作品としては割と面白かった。ただ、漱石とホームズについては昔読んだものの記憶にないので、楽しみどころを逃しているっぽいのも否定できないかも。