『月光亭事件』 三十五冊目

月光亭事件 (徳間文庫)

月光亭事件 (徳間文庫)

 ミステリファンに熱烈に支持されている骨太な本格ミステリ作品である(角川スニーカー文庫『ミステリアンソロジーⅠ 名探偵は、ここにいる』の著者紹介に書いてある)「狩野俊介シリーズ」第一弾。少年探偵・狩野俊介が月光亭で起きた密室殺人に挑む。ちなみに作者がラノベではないと言っているのでラノベではありません。
 俊介や野上などメインキャラがまずまず立っているのと、死体の火傷の真相、読みやすさは評価できるがそれだけの模様。メイントリックがアレなのは仕方ないにしても、真犯人指摘の根拠が薄弱なのはちょっとちょっとと言いたい。証拠を提示して欲しいと思う。それは過ぎたる望みなのでしょうか?
 まぁ、冒頭で「郵便局員あの女の香水のにおいがする+帽子に百合のブローチをつけている=ユリさんと会っていたから配達が遅れたんでしょ?」という超絶推理を見せてくれるくらいだから、そうなのかもしれないが。……これからはエスパー狩野と呼ぶことにしよう。