『電波的な彼女〜幸福ゲーム〜』 十六冊目

電波的な彼女 ~幸福ゲーム~ (スーパーダッシュ文庫)

電波的な彼女 ~幸福ゲーム~ (スーパーダッシュ文庫)

 最近、私の中でブームを巻き起こしている「電波的な彼女」シリーズ第三弾。今回も主人公の鬱屈ぶり、ヒロイン「雨」の電波ぶりと本作品を構成する二大要素は健在で、安定して面白い。
 事件そのものは以前の二つと比較して地味な印象を受けたが、犯人が良い感じにはじけており動機重視のこのシリーズとしては成功と言える。犯人の行動原理の表層は初期の段階で予想がついた感も否めないが、考え方そのものやその辺りの明かし方・描写も良かったので問題ないだろうし。
 加えて、序盤の忘れてしまいそうなエピソードが後半に効いてくるという構成(や、本来伏線とはそういうものだが)だったので、伏線萌え主義者としては嬉しかった。
 気になる点といえば、私の苦手なハーレム化が進んでいることだが、今回は勝利確定なので構わないか。……って、もう一つあった。一応ミステリなので(サスペンス→ミステリということで)詳しく書くとネタバレになるのでアレだが、この作者メガネっ娘の扱いが酷い。人類の進化すべき新たなる方向性なのに……。